*** 武甲山 ***
     

 05年5月の連休のある日、突然、武甲山登山を思い付き、武蔵野線、西武線と乗り継い
で出かけたものの、出発が遅い事もあり、横瀬駅到着が11時前になって、スッカリ登山
意欲が無くなってしまった。
という言い訳を自分にして、今回は登山を断念。

 横瀬駅から大勢がゾロゾロ目指して歩くのは、ここ最近見所となった羊山公園の芝桜
見物である。一寸見て行く気になって、駅から1.8Km程度丘を登ると、確かに芝桜が咲
いていた。人が多くて、やたら食べ物を売っている小屋が多く、感心は出来るものでは
ない。

 羊山公園から琴平神社ハイキングコースがあり、4Kmばかりだが途中新緑はきれいだし、
ツツジは盛りでこちらは良かった。2時間もあれば歩けるコースであり、西武線横瀬駅
から秩父線景森駅まで一寸したハイキングが楽しめる。

 



前回の登山断念を挽回するべく、 武甲山に05年5月28日再度挑戦。 武甲山は三峰山、両神山と並んで秩父三山とされ、信仰の対象になっている名山である。
上の写真のように、堂々たる山容だったが、今は無残にも北側の半分が削られ、抉られ 悲しいまでの様態を晒している。
国土地理院の地図をご覧になると、いかに凄まじい破壊が行われているかが一目で判る。 山塊の北側半分が消滅しているのである。地図に人工の破壊の痕跡が明瞭である。 これは大正末から始まった石灰岩の採掘によるものである。この山が削られ、セメント となって東京のコンクリートジャングルが造られているのである。これは今も進行中で 誰も止めようとしない。 この山頂からの惨状を見て頂きたい。
武甲山は日本武尊が東征の折、その山容の見事に感銘して甲を祠に納めた事から「武甲 山」と命名されたとの言い伝えがある。標高1336mだったものが石灰岩採取で1295m迄 41mも削られたとされていたが、2002年国土地理院が再調査の結果1336mだったと判明。

表登山路には1丁目から52丁目まで石塔が建てられている。 御嶽神社の守りは狼である。犬ではない。北面の無残な破壊とは裏腹に、南面にはまだ かっての武甲山が残っている。秩父の山深くには、狼や熊、鹿、猿達が生息していた。 今でも、熊や猿は勿論いる。 せめて、これはこのまま保存すべきである。何億年か前ここは海底であったのである。 古代の生物が石灰岩となって堆積し、やがて隆起して山となったのであるが、それを営 利目的で僅か100年足らずの内に山塊の半分をも削り取り利用したのである。それは掘削 機械の高度化と共に加速化されており、今世紀の半ばには”ここにかって武甲山があった” との記念碑でも建つのであろう。 石油や石炭も古代生物の堆積物であるが、これも猛烈な勢いで掘り尽くされようとして いる。唯一日本に大量に埋蔵されている石灰岩も同じである。

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