*** 吉井三山 ***

 御荷鉾山系がその山裾を関東平野に向けて北東に広げる地に、群馬県高崎市吉井がある。ここは地
 図上から言うとほぼ日本列島の中心である。奈良の昔ここは多胡(たご)の入間(いりの)と呼ば
 れた地域で、国の特別史跡の多胡碑が残されている。多胡碑は和銅4年3月9日(711年)に多胡郡が
 設置された際のものであり、奈良時代(710〜794年)既にこの辺りは相当程度の文化が外国からの
 渡来人を中心に開けていたようである。尚、多胡とは文字通り胡の人が多く住んでいた場所という
 意味であろうと言われている。

  多胡碑
  

 レプリカの多胡碑
 



 東京方面から関越自動車道で一時間ほど北上(正確には西北上だが)すると、埼玉県境を越えて群
 馬県に入る。そこから直ぐに高速道は新潟へ向かう関越道に別れを告げて大きく西方にカーブを切
 って長野自動車道に入っていく。その分岐点から5分も走ると多胡の入野である。

 長野自動車道はここから富岡、軽井沢、佐久、上田を経由して長野方面に延びている。その最初の
 吉井ICを降りて、山側に10分ほど走ると関越ハイランドゴルフクラブがある。ここ10年ほど月例
 会コンペに参加するためにほぼ月に一度このゴルフ場に出掛けている。その南南東に連なる山々が
 今回紹介する「吉井三山」である。下の写真でもお分かりの通り、27ホールあるこのゴルフ場の
 何処でプレーしていても、この山々を見ながらゴルフをすることになる。もっとも、この山々をゆ
 っくり眺めながらプレーする事は、全く不調でゴルフを諦めた時か、極稀だが絶好調で余程の余裕
 がある時に限られる。

 
 (写真はGoogle Earthからの借り物、画面の下の自動車道の2.5km左に吉井ICがある))

 東から牛伏山、八束山、朝日岳である。
 関越ゴルフ場の北には上信越自動車道が走っていて、この三山への直近の入り口は吉井ICである。

 ★牛伏山(うしぶせやま)は多胡嶺(たごれい)とも呼ばれ、万葉集に
 「多胡の嶺(ね)に寄せ綱延(は)へて寄すれども あに来(く)や沈石(しづし)その顔よきに」
 「多胡の山に引き綱を懸けて引き寄せても、その娘は美しい顔を鼻にかけて寄って来よう
   ともしない」
 と詠われている。

 
 (山茶花コース9番から眺める牛伏山)

 「吾が恋は 現在(まさか)も悲し草枕 多胡の入野(いりの)の奥も悲しも」
 「私の恋は現在も悲しいし、多胡の入野が奥深いように、遠い将来までも
  が悲しくてならない」
 
 この牛伏山は標高491mで、三山の主峰である。その姿が臥牛に似ているので「牛伏」と呼ばれた。
 一郷山(いちごうやま)とも呼ばれ、頂上には一郷山城がかってあった。城と言っても砦のような
 もので天守閣等無かった。武田信玄に落とされて、城兵は皆殺された。

 僕の故郷の岡山・高梁には備中松山城があって、やはり牛が伏せている姿で臥牛山(がぎゅうざん)
 と呼ばれる。標高は430mで牛伏山よりも低いが、高梁に居る頃登った記憶では随分と高く感じた。
 その臥牛山頂上に昔のままの天守閣が現存している。ここ牛伏山には現在鉄筋の模擬天守閣がある
 が、そもそも一郷山城には天守閣は存在しなかったので全くの偽もの、作りものである。






 ★八束山(やつかやま)国指定特別史跡「多胡碑」に書かれている羊太夫の居城と伝えられ、別名
 「城山」とも呼ばれる標高453mの山である。羊伝説にふさわしく「羊の足跡」という石がある。

 <羊太夫伝説>
 『昔、この地に羊太夫という者がいて、神通力を使う八束小脛という従者に名馬権田栗毛を引かせ
 て、空を飛んで、都に日参していた。あるとき、羊太夫が昼寝をしている小脛の両脇を見ると羽が
 生えていたので、いたずら心から抜いてしまったが、以後小脛は空を飛べなくなってしまい、羊太
 夫は参内できなくなった。朝廷は、羊太夫が姿を見せなくなったので、謀反を企てていると考え、
 軍勢を派遣し、朝敵として羊太夫を討伐した。落城間近となった羊太夫は、金の蝶に化して飛び去
 ったが、池村で自殺した。八束小脛も金の蝶に化身し飛び去ったとされる。』

  八束小脛(ウィキペディア)
  
 
 (楓コース8番からの八束山)





 ★朝日岳は448mの標高の山で、多胡美人とも呼ばれ、天引城(小幡羊太夫宗勝が城主)があった。
 牛伏山に住む天狗が、里の美しい娘に懸想した。かなわぬ恋に、天狗は娘を山にしてしまい、牛伏
 山の脇に貼り付けてしまった。この山が「多胡美人」と呼ばれる所以である。
 この朝日岳が関越ハイランド楓コースの6番ショートコースの直ぐ上に聳える山である。

 
 (写真は楓コース1番から見る朝日岳)

 →実は牛臥山以外はまだ登った事はなく、近いうちに登る計画である。ただ、この辺りは狩猟区域
 なので、獲物と間違われて撃たれないよう注意しなければならない。ゴルフをやっている時、これ
 らの山からたまに銃声が聞こえる事もある。
 この三山は大体5時間程度で回れるので、ハイキングに丁度いいのではなかろうか?

  写真はいづれもゴルフをやりながら攝ったもの、今度登山ししっかりした写真を撮ってきてこ
  こに掲載の予定です。

  [楽しい群馬の山歩き]さんの吉井三山記録
  

 
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