<釜山・韓国桜街道>                <2013.4月>

 日本には桜の名所が各地にあり、これまでにあれこれと観てきたが、韓国に名所があると聞いて
 韓国慶尚南道の釜山近辺のツアーに参加した。

 今年は日本でも平年に比べて10日以上も早く開花したが、ここ釜山は東京と同緯度であり4月
 5日に到着した時はすでに盛りは過ぎてしまっていた。それでも幾らかは残り桜を観る事は出来
 た。ソウルは仙台と同緯度なので桜はこれからだろう。

 それにしても、東アジアの近年の活況さは凄まじい。桜見物に来たのだが、桜よりも経済発展の
 方に目を奪われてしまう。中国、台湾、シンガポール、タイそしてこの韓国である。高速道路や
 高速鉄道が造られ、摩天楼があちらこちらに出来、工場群や高層住宅が立ち並ぶ。都市の中心部
 には欧米を凌駕する商店街が軒を連ね、真新しい自動車が道路を埋め尽くす。

 そして市場は、まだアジア特有の猥雑さは残すものの食料品や商品で溢れ、何よりも人々の熱狂
 が渦巻き、街全体が生き物のように胎動する。これは西欧世界にも日本にも無い。21世紀は正
 に東アジアの時代なのであろう。

 しかし、今回は「6つの桜を訪れる韓国桜街道4日間」の旅なのである。桜を観よう!
 これは慶州市(きょんじゅし)仏国寺の桜である。

 釜山は”ぷさん”と発音されるが、英語表記はBUSANである。かっては豊山と表記していた。
 人口は400万弱で、韓国第二の都市である。福岡から200kmと近く、飛行機だと45分で到着する。
 下関と釜山を結ぶ関釜フェリーだと夜7時に乗って翌朝8時に到着する。2等なら9,000円。

 


 対馬の先端から釜山までは50kmである。
 釜山-巨済島まで総8.2キロを橋と沈埋トンネルで作った韓国の建設技術(大宇建設など)でもって
 すれば、対馬ー巨済島を橋と沈埋トンネルで結ぶ事も可能だろう。その計画の看板もどこかで見た。
 
 日本でも青函トンネル(54km)を作っているので、日本の建設技術でも可能であろう。

 
  (google-Mapより)
  







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*** 成田から釜山へ ***

 ほぼ定刻通りに成田を飛び立った大韓航空KE716機は、日本海側を飛んで二時間も掛からないで釜
 山金海国際空港に到着してしまう。それはそうだ、那覇よりもずっと近いのだから。だから機内は
 慌ただしい。直ぐに食事が出て、飲み物のサービスがあり、機内販売が行われているともう着陸態
 勢になる。

 









 空港の傍を流れる韓国最長の川「洛東江」堤防には桜が延々と植えられている。まだ若木だが数年
 後には桜のトンネルになる事だろう。対岸には高層の住宅群が見える。
 
 韓国の地図をよく眺めると、韓国は東側に高い山があって、西には高い山がない。高いと言っても
 1900m止まりである。韓国一高い山は済州島の1950mの山であり、北朝鮮を含めると白頭山2744m
 が最高峰である。川は基本的には高い東から西の東シナ海方面へ流れる。釜山に流れ来る洛東江は
 珍しく南北に流れている。

 経済発展の「漢江の奇跡」で有名なソウルを流れる漢江は流域面積が174,300kuで韓国一の大河
 だが全長は514kmで、釜山を流れる洛東江の525kmより短い。洛東江の流域面積は23,384kuで漢江
 より遥かに小さい。


  









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*** 龍頭山公園と国際市場 ***

 最初に訪れたのは「龍頭山公園」である。

 









 巨大な鐘閣である。他では見たこともない巨大な釣鐘だ。

 









 公園内に聳える釜山タワーに登ってみると釜山港が展望できる。対馬も遠望できるそうだ。
 180mの高台に120mのタワーの展望台が建っているのだから、地上300mの眺望である。

 









 釜山は街の中に5、6百mの高い山が幾つもあり、平野は少なく橋やトンネルで街が結ばれている。
 小高い丘には桜が咲いている。

 









 タワーを見上げる。李舜臣も日本を睨み付けて屹立している。
 
 









 当然ながら、日本の植民地支配に対する抗日記念物もある。桃は静かに白く咲いていた。

 









 龍頭山公園近くの国際市場を散策する。こうゆう景色に出会うと、やっと「韓国」に来た気がする。
 新大久保や大阪の生野でもこれに似た街がある。

  


  









 キムチも様々である。                   夕食は豚カルビと海老、タコの入ったチゲである。

  










 ロッテホテルは高級ホテルである。

  

 










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*** 慶州・蔚山・廣岸里 ***

 翌日は味噌チゲを食べた後、慶尚北道の南端にある慶州(きょんじゅ)へ向かう。 
 京釜高速道路のサービスエリアで休息。中でうどんを売っていた。
 日本のものより小規模で、商品も少ない。

 車は多い。殆どが現代と起亜車ばかりだ。
 外車ではシボレー、BMW、VW、アウディで、たまにレクサスに出会う。

  










 仏国寺山門

 











 四天王

  










 木魚。これを叩いて人を集めた。

 









 多宝塔(国宝)

 









 極楽殿

  









 豚の像。皆が撫でるので金ぴかだ。
 加藤清正が熊本城の石垣の参考にした石組み。

  









 紫霞門、安養門

 









 鐘閣前には桜が残っていた。
 仏国寺の広大な庭には桜が多く植えられている。

  









 古墳公園

 









 蔚山(ウルサン)彦陽(オンニャン)の桜
 手前に停まっているのは現代のソナタ(SONATA)車。これをよく見かける。
 もともとは三菱自動車のエンジンを積んでいた車であるが、今や日本車がこれを模倣しているので
 はないかというまでに成長した世界戦略車である。

  


 生憎の雨だったので、桜見物の人は居ない。桜の下に延々と屋台が並んでいた。

  


 多分、桜祭りとでも書いてあるのだろう?

 









 海雲台海水浴場
 向こうには85階建のビル群が望まれる。

  



 免税品店が入るビル
 日本海(韓国では東海)の荒波が海岸に押し寄せる。

  









 海雲台の街並み

  




 この辺りにも海産物を扱う店がある。

  









 超高層ビル群
 他の場所にはロッテが105階建のビルを建設する計画がある。
 アパートも50階以上のものが多くあり、地震対策は大丈夫かと気になる。
 



 廣岸里桜街路の桜は終わっていた。
 ここは中層アパート群の中の桜街路だった。
 









 夕食はサムギョプサル。油を斜めの鉄板で滴り落とす。

 









 広安大橋

 










 夕食後は広安里海水浴場の夜景見物。

 









 一般の家庭を訪問し、生活ぶりを観る。
 その家からの夜景。 
 41階の高層アパートで150m2を超える広い部屋だった。
 主人は大学教授とか?

  









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*** 鎮海 ***

 シジミ汁定食を食べた後、鎮海へ向かう。 

 









 釜山の市内でも背後の山の上の方は桜が残っている。

 









 慶全線の慶和駅

 



 この駅は韓国ドラマのロケ地にしばしば利用された。
 ここも桜は殆ど残っていない。
 



 山の上の方はツツジが咲いていた。

 









 ここは鎮海で一番の桜の名所の余佐川

 


 ここも沢山の屋台が出ている。

 



 桜祭中だが、殆ど散ってしまっている。

 

  

 










 海軍鎮海基地内の桜並木
 桜祭り期間中基地内が解放される。

 



 



 









 海軍士官学校に係留されている亀甲船
 
 


 鎮海は韓国の桜の名所。桜の木が20万本もあるとか、あの日本一の吉野でさえ2万本である。
 鎮海はかって日本海軍が基地を置いていた軍港。現在は韓国海軍の基地になっている。
   
 この亀甲船で、韓国一の英雄「李 舜臣」が文禄・慶長の役で豊臣秀吉軍を悩ませたとのこと。史
 実かどうかは疑問視する向きもあるが。
 
 

 

 この鎮海湾は外海から見えにくく、軍港として適している。

 



 


 竹島(韓国では独島)の写真も韓国の島として飾られている。

 



 亀甲船での戦いの様子

 









 昼食は統営(とんよん)で「忠武(ちゅんむ)キンパ」を食べる。
 右は白いご飯の海苔巻、中はイカのキムチとカクテキ、左はシレギクッ。
 これは米の研ぎ汁に煮干しの出汁を入れ、白菜などの野菜の切れ端を入れて、みそ仕立てで作る。
 4,000ウオンだから一人前400円程度のものだ。爪楊枝で刺して食べる。

 



 統営(とんよん)の忠武港
 ここは李舜臣が海軍の本陣を置いた処で、ここにも彼の像がある。

 



 ここにも亀甲船が係留されていた。

 



 魚の干物を沢山売っている。

 









 巨加大橋(こができょ)は巨済島(こじぇど)と釜山を繋ぐ大橋で、2つの橋と沈埋トンネルから
 なり8kmに及ぶ。

 



 









 加得島(かどくど)ではノリの養殖もおこなわれている。

 



 加得島を過ぎて鎮海に上陸すると、大工業団地があり、コンテナ・クレーンが林立している。
 横浜や東京港の比では無い。

  
 
 










 その後、ロッテホテルのカジノ体験の後、チャガルチ市場で夕食を摂る。
 様々な魚介類を売っている。

  



  



  



 刺身などの夕食。タコの刺身は足がうねうねと動いていた。

 

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*** 帰国の途 ***

 宿泊したホテルの傍の道路              釜山金海国際空港

  









 飛び立つと眼科に釜山の街並みが広がる。 
 右は海雲台CCだろう。ゴルフ場が少なくプレー費が高いので日本へゴルフに来るそうだ。

  









 街の中に山があるのがわかる。それも5,6百mと相当高い山である。
 白い丸い建物は釜山アジアド主競技場

 









 北アルプスの上空である。左上の翼の下に富士山が微かに見える。
 画面左中央は信濃大町辺りだろう。

  

  富士山は早くから見え始め、着陸態勢に入るまで見え続ける。
  
  









 機は真っ直ぐ成田に向かわずに、浅間山、日光男体山、白河、いわき方面に大きく迂回する。

 

 浅間山と四阿山(あずまやさん)                  川俣湖、男体山が翼の下に見える。

  









 髪に結った水引のような飾りが似合う乗務員さん、ありがとう。

  









 日光、那須、いわきと飛んだ大韓航空機は、太平洋に出ると機種を西に転じ鹿島灘から九十九里へ
 と向かい強風の中、翼を左右に揺らしながら東南方向から成田空港に着陸した。

 


 日本のメディアがあれだけ報道している「北朝鮮の問題」を、こちらではどう受け止めているのだ
 ろうかとずっと気になっていた。現地では全く緊張した様子は感じられず、海軍士官学校の生徒達
 も随分リラックスしていて、笑顔で愛想を振りまいていた。市井の人も、毎年の恒例行事程度にし
 か「北の脅し」を受け取っていない。昨年は砲撃されたり、前には潜水艦が沈められたりしている
 のにである。もっともここ釜山はソウルからは随分と離れているせいもあるのだろう。

 何も起こらず、地震などの災害も無く、このまま発展することを願って「熱き国」を後にした。



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