<燧ヶ岳>                         <2014.10月>

 14年の秋、尾瀬の燧ヶ岳に登ってみた。高速割引が縮小されて高速代が高くなったのと、早く出発しな
いと日没に間に合わなくなるので、3時40分に家を出て所沢ICに深夜料金の適用される4時前に入った。

 途中、上里SAで朝食を取り、弁当のお握りを購入した。尾瀬沼への群馬からの入口である大清水へは
6時50分頃に到着した。大清水には大きな駐車場と数軒の売店があるが、早朝なので店はまだ開いてい
ない。
 大清水からは県道1号線(沼田街道)を3.2km歩くと一之瀬に着く。約1時間である。これが意外と長い。
今年は大清水から一之瀬間を僅か10分で結ぶ低公害小型車の試験運行が行われた。今年の運行は終
了したが、来年以降の本運行に期待したい。そうなれば尾瀬沼へのアプローチが容易になる。


 (地図はoze-hiking.com から拝借)


                                    <写真はクリックすると拡大します>
大清水の駐車場周辺と、ダート道の開始地点。




大清水から3.2kmで一之瀬休息所に約1時間で到着する。ここでトイレを済まして山道に入る。
最初は片品川に沿って進むが、川と別れてからは急な登りとなり、約1時間で三平峠(1,762m)
に到着する。



木道や階段、石の道など様々な道を登っていくと、紅葉が段々見事になってくる。




三平峠までは登りが続くが、これを過ぎるとだらだらな下り坂となり、尾瀬沼がちらほら樹林の間に見
え隠れするようになると三平下に到着する。ここには尾瀬沼山荘があり、売店やトイレもある。



この三平下の分岐道を東へ行くと大江湿原、沼山峠方面へ向かう木道があり、約1kmで長蔵小屋やビ
ジターセンターに着く。
大清水〜尾瀬沼〜大江湿原〜沼山峠の往復コースは17kmほどであり、時間も6時間程度で日帰りが
可能である。鳩待峠から尾瀬湿原へのコースは帰りに登りがあって疲れた足にはキツイが、こちらの
大清水コースの方が、三平峠までの緩い登りはあるものの、それを過ぎると下りで楽だろう。一之瀬
までの低公害小型車の運行が運行されれば鳩待峠コースより楽で、上記コースの時間も更に100分ほ
ども短縮され5時間も掛からないで大清水と往復出来る。


三平下のT時路を右折すれば尾瀬沼東岸から大江湿原方面であるが、これを左折すれば西岸を通って
沼尻への木道である。
沼の向うには燧ケ岳が望める。


この西岸の木道はかなり荒れた場所もあり三平下T字路から1時間以上も掛かる。


沼尻休息所で休んでトイレを済ましてからいよいよ燧ヶ岳登山開始である。大清水を7時に出発して
燧ヶ岳登山口まで4時間掛かって、これから登れるか少々不安となる。
見上げればミノブチ岳や赤ナグレ岳が遥か上空に聳えている。ここからのナデッ窪登山道は標高差700
mの直登である。登山道と言っても岩だらけの谷窪であり登り辛いこと限りない。妻と同行したので休み
つつ登ったこともあるが8合目までで3時間掛かった。この8合目は長英新道との合流点である。


途中、見上げればミノブチ岳の巨岩が頭上に覆いかぶさり、一休み毎に見下ろすと尾瀬沼が遥かに遠
くなる。






竜胆がまだ紫を残している。8合目からミノブチ岳の向うに尾瀬沼が見える。俎ー(まないたぐら)はここか
ら更に2合の上にある。


燧ヶ岳(ひうちがだけ)は赤ナグレ岳、ミノブチ岳、柴安ー、俎ー、御池岳の総称で、柴安ーが2,356m
の最高地点である。俎ーはこれより10m低い2,346mである。東北地方一の高峰で、北海道の最高峰
大雪山の2,291mを凌ぐ。
柴安ー(しばやすぐら)       俎ー(まないたぐら)山頂


燧ヶ岳も火山であり、噴火の跡もある。500年前頃に噴火したらしいが、もし頂上付近にいて噴火に遭遇
すれば当然ながら避難する場所はどこにも無い。


平野長蔵が明治43年に沼尻に小屋を開いたのが「長蔵小屋」の始まりである。その長男の長英の名前
をつけたのが燧ヶ岳の登山道の一つの長英新道である。雪解け時はぬかるみがひどいらしい。

八合目を15時に下山開始し、その長英新道をひたすら下った。登りのナデッ窪登山道に比べると緩斜
面である。ところが1合目まで降りて来て尾瀬沼北岸までの長いこと、行けども行けども樹林帯である。
5時を回ると樹林の中は薄暗くなる。遅れがちになる妻をせかせて長蔵小屋に急いで、17時20分によう
やく到着した。


翌朝は7時に長蔵小屋を出発し三平下へ向かった。
途中、木道の傍に落とされているのは、ヘリコプターから投下された木道改修資材である。随分な重量
のものが沢山投下されていた。


尾瀬沼東岸からは、燧ヶ岳が見事に眺望できる。




鳥兜の紫が印象的だ。


尾瀬沼に別れを告げ、来た道を三平峠へ向かって登って行く。    一之瀬辺りには熊が出るらしい。


大清水へは9時30分に到着した。時間があるので、道路脇の農産物販売所へ立ち寄って栗やリンゴ等
を買う。ついでに吹き割の滝にも寄ってみた。


吹き割の滝の川向うには周遊道が急斜面にへばり付いて設けられていて、これを一周すると1時間ほど
も掛かる。


最後に老神温泉の日帰り温泉「湯本華亭」に入ってから帰路に着いた。



地図で見ると三平峠の1km近くまで県道1号線が載っているが、昭和45年に柳沢〜三平峠間の車道
建設が承認され、翌昭和46年に「尾瀬を守る会」(平野長英の長男の長靖などが作った会)の活動
などで中止された名残なのだろう。長靖は京都大学を出て北海道新聞社に勤めたが後に辞めて長蔵
小屋に入って自然保護運動を行っていたが、昭和46年保護運動の疲労により三平峠で36歳の若さで
遭難死している。
少しでも楽をして尾瀬の自然を安易に楽しみたいために、車だのなんだのと安直に思っていたが、
先人の尾瀬の自然を守る思いに触れると、少しばかり足が痛かろうが車などに頼らず歩いて尾瀬に
行くべきだと思われる。せめてトイレの脇にある料金箱には、100円球をチャリンと入れ自然保護の
ために少しは協力しようと思う。


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